【開催報告】経営層を対象としたサステナビリティ・リーダーシップ ラウンドテーブルを開催しました
一般社団法人鎌倉サステナビリティ研究所(以下、KSI.)は、5月25日、サステナビリティ・リーダーシップ ラウンドテーブル、「エネルギー危機を、企業はどう読み解くか ―GX・エネルギー安全保障政策と企業経営の接続点を探る―」を開催いたしました。
本イベントには、上場企業の社外取締役・取締役・チーフ・サステナビリティ・オフィサーおよび執行役員の皆様を含む、50名以上の方々にご参加いただきました。そのうち、社外取締役が半数以上を占め、役員レベルの参加者の70%以上がプライム市場の上場企業の方々でした。
なお、今回のラウンドテーブルは、金融庁、GX推進機構からのご後援をいただいた上、発表においては、GX推進機構 理事の高田英樹氏より基調講演を賜り、エネルギーアナリストである大場紀章氏からは最新動向に関する貴重なご知見を共有いただきました。
グループディスカッションも含め、エネルギー分野における市場・政策動向を踏まえた経営戦略・リスク管理など、多角的な視点から考察を深めていただく機会となりました。
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会の冒頭では、青山学院大学名誉教授・東京都立大学特任教授であり、KSI.特別顧問の北川哲雄氏が、「サステナビリティを巡る現在地~サステナビリティ情報開示の進展と企業価値評価の原点回帰」と題した発表とともに、開会の挨拶をいたしました。
①基調講演
GX推進機構 理事 財務・サステナビリティ推進担当の高田英樹氏より、「GXとサステナビリティへの取組み:変動する世界情勢の中で」と題してご講演いただきました。
GX推進機構は、脱炭素社会の実現と経済成長の両立(グリーントランスフォーメーション:GX)を目指し、2024年に設立された政府認可法人です。民間企業によるGX投資を後押しするため、GX経済移行債による資金を活用した金融支援や、排出量取引制度の運営、幅広いステークホルダーと連携しながらGX政策を推進する「GXハブ機能」などを担っています。
高田氏は、脱炭素化を着実に進める一方で、中東情勢悪化によるエネルギー危機に直面する中、一次エネルギーの約8割を化石燃料に依存する日本にとっては、エネルギー安全保障の観点からもGX(グリーントランスフォーメーション)を堅持していくことが重要であることを強調しました。その上で、脱炭素電源拡大のGX投資は、「危機管理投資」そのもの、と述べました。
また、GX推進機構が、外部ステークホルダー・コミュニティとの連携を通じて、ネットワーキングと政策形成機能を強化することを目的とした『GXAプラットフォーム』を立ち上げたことにも触れ、今後の政策展開に向け、GXに関する議論を一層深めていこうとする意欲がうかがえました。本イベントもGXAプラットフォーム連携イベントとして位置づけられています。
イベント後のアンケートでは、「GX推進機構については活動内容を周知した方が社会の動きにつながりやすい」「GX戦略と企業の成長戦略とが結びつく取り組みについて、事例などを知りたい」など、前向きな意見が寄せられました。
②専門家レクチャー
エネルギーアナリストで、ポスト石油戦略研究所の代表である大場 紀章氏からは、「ホルムズ危機が日本のエネルギー政策・GX政策に与える影響について」と題してご講演いただきました。
大場氏は、中東情勢の悪化とホルムズ海峡封鎖の緊張が日本経済やエネルギー供給に与える影響について「供給途絶リスクという点で、石油利用170年の歴史上最大の危機」としながら、豊富なデータを交えて、石油備蓄や調達先の多様化、日本のエネルギー消費構造が抱える課題など、エネルギー供給体制における日本の現状について解説しました。
さらに、今回の中東情勢の悪化により、世界のLNGの途絶量も過去最大であることを示しながらも、GX戦略に対するホルムズ危機の影響は、現時点でほぼ見られないと説明しました。また、エネルギー安全保障のための「再エネ」が世界で話題となる中、「日本ではなぜ経済・エネルギー安全保障の文脈で再エネが十分に評価されないのか」について深掘りしました。直近の政策としては、「エネルギー自立」という形でサステナビリティにプラスに働くように働きかけるべきだとし、GX推進機構への大きな期待も語りました。
講演に対する参加者アンケートでは、回答者全員が「満足」または「非常に満足」と回答し、「非常に満足」と答えた方が90%以上でした。
寄せられた声には、「大場氏の分析は独自性が高く、非常に価値が高いと感じた。」「現状を客観的かつ分かりやすく説明頂いた上で、課題認識についても明快かつ理解しやすい提言となっており面白かった。」など高い評価が見られました。また、「政府がもっと再エネについての方針などをディスクローズする方向になってほしい」「エネルギー戦略を安全保障の視点から強化してほしい。」「企業はどのような全体最適を実現すれば、投資家から評価されるのか。」などの多様な意見が上がりました。
まとめ
全体として、ご参加いただいた皆さまの満足度が非常に高く、「大変勉強になった」「大変意義のある会である」「グループディスカッションで他の方の意見が聞けたのは良かった」など、ご好評をいただきました。
講義を受けた後、「今回の事態に対する認識が変わった :80%」「役員会・経営会議で取り上げたいと思った:53%」、「自社のGX戦略を見直す必要があると思った:57%」など今後の取り組みを見直し、今後の業務や取り組みに反映したいという声も聞かれました。
また、レクチャーパートのみの事後配信は170回以上視聴され、事後配信登録者の約6割が社外取締役やCSOなどの役員層であり、そのうち6割以上がプライム市場上場企業の方々でした。改めて経営層からの関心の高さが伺えました。
皆様の関心が高いテーマについて、非常に良いタイミングで開催できましたこと、心より感謝申し上げます。ご協力頂きました関係者の皆様、誠にありがとうございました。
KSI.は今後も、取締役会レベルでのサステナビリティ議論の質を高めるため、対話の機会を提供してまいります。