イギリス発グローバルファッションコンテスト「Fashion Values Challenge」、今冬参加応募スタート!

今冬より一般社団法人鎌倉サステナビリティ研究所(KSI)は、イギリス・ロンドン芸術大学のCentre for Sustainable Fashion(CSF)が主催するサステナブルファッションに関する教育プログラム「Fashion Values(ファッション・バリュー)」の日本支部として活動を開始します。

Fashion Valuesは、CSFがKeringやIBM、Vogue Businessと共同で開発した、無料でアクセスできるサステナビリティに関する教育プログラムです。このプログラムの2022年のテーマは「ファッションと社会との関係」。これまでファッション業界が社会に影響を与えてきたインパクトを紐解きながら、これからのファッションと社会のつながりを考えます。


ファッション業界が抱える社会課題

読者の皆さんもご存知のように、昨今ファッション業界における社会問題が国内外で顕在化しています。

例えば、国連貿易開発会議(UNCTAD)では、ファッション業界は世界で第2位の環境汚染産業とみなされており(※1)、日本だけを見ても1日あたり1,300トンもの衣服(大型トラック130台分)が焼却・埋め立てされていると言われています(※2)。それだけでなく、今年のFashion Values Challengeのテーマである「Society(社会)」においても、2013年にバングラデシュで起きたラナ・プラザ崩壊事故(※3)に代表されるような労働環境や人権問題が国内外で注視されています。近年では、大手ファッションブランドが、強制労働の可能性を指摘されている「ウイグル綿」の使用を禁止すると宣言したことも話題となりました。


社会課題解決としてのファッションとは

さまざまな社会課題を抱えるファッション業界において、近年そうした課題解決に向けた取り組みが広がりを見せています。例えば、「エシカルファッション」や「サステナブルファッション」といったコンセプトのもと、生産者たちと共に公正公平なビジネスを行う取り組みや、消費者が製品の生産背景やその製品の環境負荷を確認できる技術、リサイクルをはじめとした資源循環など様々な視点から模索されているのです。

今年のFashion Values Challengeでは「ファッションはどのように社会に価値を与えることができるのか」という問いを掲げ、デザイン、メディア、テクノロジー領域におけるプロダクトやサービス、システムのアイディアを募集します。


世界中の応募の中から選出された受賞者2名は、Fashion Valuesネットワークのアドバイザーとともに、アイデアをさらに発展させるための6ヶ月間の支援プログラムを受講することができます。


昨年の受賞作品

昨年のテーマは、「Nature(自然)」。海藻から新素材を開発する「Future Wardrobe Collective」、フィリピンの地域社会と協力し、不要となった古着を再生可能な手織りの生地を用いてアップサイクルに取り組むファッションビジネス「Kinabuhi」、そしてユーザーが互いに新しい着用方法を提供し合えるファッションメディアプラットフォーム「ECCE ‘Second Nature’」が受賞しました。

Future Wardrobe Collective

Kinabuhi

ECCE ‘Second Nature’



新型コロナウイルスなどの影響で社会全体が大きく変わろうとしている今だからこそ、私たちはファッションを通して社会にどのような影響を与えられるのか——。

KSIは、Fashion Valuesの日本支部として、「世界の舞台で活躍したい」「ファッション業界の社会課題を解決したい」と考えるデザイナーやクリエイターのみなさまのアイディアを募集しています。日本のファイナリストに選出された方は、日本支部からの推薦として選考に優位になる他、英語の翻訳サポートや同じ志を持つ仲間との座談会などに参加いただけます。

Fashion Values Challengeを通して、よりよい未来に向け、自由で独創的なアイデアを発表してみませんか?

皆さんのご応募を心よりお待ちしています。

2022年度の日本支部への応募は終了しました。

イギリス本部への直接応募は2023年1月23日まで受付られています。
詳しくは、こちらの公式サイトよりご覧ください。

Fashion Values Challenge 公式サイト(日本語)https://www.kamakurasustainability.com/fashion-values-intro

Fashion Values Challenge 公式サイト(英語)https://fashionvalues.org/challenge-2022/fashion-and-society

※本件に関するご不明点は、白石(office【a】kamakurasustainability.com)までお問い合わせください。

*[a]を@に変えてメールアドレスをご入力ください。

【参考】

(※1)国際連合広報センター「国連、ファッションの流行を追うことの環境コストを『見える化』する活動を開始」(2019年)

(※2)環境省「Sustainable Fashion これからのファッションを持続可能に」(2022年)

(※3)IDEAS FOR GOOD「ラナ・プラザ崩落事故とは・意味


ライター:小澤茉莉(KSIメンバー)
一般社団法人TSUNAGU理事。東京工業大学環境・社会理工学院修士課程在籍。現在大学院で文化人類学の視点からシルクをテーマに人間・生物・科学技術の関係を研究。一般社団法人TSUNAGUではこれまで藍染めや草木染めを中心に日本の伝統文化に関する講演やワークショップ等を実施。また、ライターとしてウェブメディア「IDEAS FOR GOOD」や紙媒体などで活動している。